2017年5月12日金曜日

今月のみことば



「私たちは、真理に逆らっては何をする力もなく、真理にしたがえば力がある。」
(コリント人への手紙第二 12章8節 口語訳)

 誰にも解くことの出来ない、その複雑で堅い結び目を解いた者こそが世界の覇者となる、という神託のあったゴルディオンという都を、遠征中のアレクサンドロス王が訪れた。王も挑んだが、やはり解くことが出来ない。すると王は剣を抜き、その結び目を一刀両断に断ち切ってしまった。そして文字通り、アレクサンドロスはその後まもなく世界の覇者となったのである。◆あれ九段℉ロスの剣ではないが、複雑に絡み合った問題を解くヒントは、意外にも身近なところにある。たとえば、緊迫が伝えられる北朝鮮問題だ。◆「建国の父」と謳われる金日成は、本名は「金成柱」で、スターリンの後押しを受けて指導者に担ぎ上げられ、知名度不足を補うために、1920年代に活躍した実在の将軍、金日成になりすました人物である(ジャーナリスト池上彰氏による)。つまり、北朝鮮の建国物語は国家規模の虚構の上に成り立っている、ということだ。この事実が広く行き渡るだけでも、軍事力に優るインパクトがあるのではないだろうか。◆また、「森友学園」問題で急にクローズアップされた教育勅語であるが、この教育勅語のもとで、多くの尊い命が失われたことを忘れてはならない。それは、このような一節が巧みに挿入されているからである。「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ(万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい-身を捧げて皇室国家の為につくせ)◆国家にとってなんと都合のよいことばであろうか。これも調べみればすぐ分かることであるが、「教育勅語」は天皇の言葉を装った、井上毅と元田永孚の、いわば合作による作文にすぎない。怖れ多くも天皇陛下のおことばである、という演出が盛んになされたからこそ国民を戦争に駆り出すのに有効だったのであって、成立の真相を国民が知っていたならば、歴史は大きく変わっていたかもしれない。◆5月3日は憲法記念日。莫大な犠牲を払って国民が得た憲法の大切と価値を改めて覚えたいものである。
長野キリスト集会 月報5月号より