2011年1月19日水曜日

人間は何をしてきたのか?

フォトジャーナリストの桃井和馬氏が書かれた本の題名である。「希望へ!」が本題かな?フォトジャーナリストとして世界中を回って、副題にー悲劇の現場をめぐってーとあるようにそんなところを4箇所ピックアップして書かれている。不法伐採されていくボルネオの熱帯雨林、成人の20パーセントがエイズに感染している南アフリカ、チェルノブリの原発事故でのベラルーシ、ルワンダのフツ族によるツチ族へのジェノサイド。

「人間は何をしてきたのか」と問いば「貧富と差別を生み出し、人間のエゴを露にしてきた」のではないだろうか。近代文明は、豊かさと利便性をもたらしたが、そこには人間の驕りと高ぶりを露にし、自ら滅びに向かっていくようなことをしてしまった。今大きな代価を払って、そのことに気づき始めて、そこから学ぼうとしているようだ。また学ばなければ「滅び」しかないことも分かってきたのかもしれない。「人間は自然の営み中に組み込まれている」ことを学ぼうとしているが、未開人と言われている先人たちは既に知っていたのである。

桃井氏は、悲惨な現状を指摘しながら、そこで生活している人たちや活動している人たちを通して、絶望ではなく希望を提示しているようである。それと問題が起きている対極に思い込みで動いている現実があると指摘されていたがよく分かる。何か知りたいと思ったら、①思い込みを捨てる必要がある。②事実を丹念に集める必要がある。その上で、③自分の頭で考える。この三つのプロセスが重要であると書いている。先の戦争を思うとまさにこの三つが欠落していることが分かる。クリスチャンでも極を少数を除いてはここから漏れることはなかった。すべての人はこのようなことはできないから指導的な人の責任は重い。ジェノサイドもこのような人たちの働きが大きかったようだ。

現代は気をつけないと思い込ませるような偏った情報が発信され、そして間違った情報で判断してしまう危険性がある。真実と偽りを見分ける目がないと簡単に惑わされるなぁ。信仰生活にも適用できそうだが、わが霊の眼はまこと覚束ないから…。