2015年10月17日土曜日

ブラインドタッチの練習 長野集会の「今月」のみことばより

8月号
今月のみことば


だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。 (コリント人への手紙第二 5章17節)

 
1998年の長野オリンピックで来日し、聖火ランナーとして走ったアメリカ人がいた。ルイス・ザンペリー氏(81)である。◆その後、太平洋戦争勃発に伴い、アメリカ陸軍に入隊した。ところが、彼の乗った飛行機が故障のため太平洋上に不時着、47間漂流した末、日本海軍の捕虜となり、直江津の収容所に入れられた。そこで待っていたのは「バード」と呼ばれて捕虜から恐れられていた日本人軍曹からの執拗な虐待であった。◆長い戦争が終わり、収容所生活が終わっても、日本兵、特に「バード」への憎しみは消えることはなかった。悪夢にうなされ、酒浸りの日々が続き、結婚生活も崩壊寸前だった。そんな時、妻からの願いでビリー・グラハムの野外伝道集会に参加する。グラハムが語る聖書のことばはまさに自分に語りかける神のことはであった。「あなたの敵を愛せよ」…。◆トラウマを乗り越えるためにはもう一度日本に行かなければらない…。1950年、巣鴨プリズンを尋ねる。しかしA級戦犯として全国に指名手配された「バード」は訴追を逃れるため逃亡していた。ルイスは、拍子抜けするものの、気がついてみるとあれほどの憎しみが消えていた。ルイスにとっての長い戦争がやっと終わったのである。◆占領統治が終わり、「バード」は再び姿を表した。長野五輪の前年、米CBSのインタビューに応じたものの、ルイスとの面会は拒み続け、死ぬまで自らの非を認めることはなかった。一方、ルイスは、かつての捕虜収容所のあった直江津を走り、沿道から盛んな声援を受け、日米友好の架け橋となった。◆どちらが人生の勝利者となったかは言うまでもないだろう。