2017年2月15日水曜日

狭き門


アンドロ・ジイド「狭き門」という本は知っていたが読んだことはなかった。図書館に行った時にこの本を思い出し光文社古典シリーズの中にあったので借りてきて読んでいる。「狭き門」ジット、中条省平・中条志穂訳となっている。「狭き門」の題名は聖書の「狭い門から入りなさい。…」(マタイ7:13)から取っているようである。

「狭き門」とあるから禁欲的な何か厳しいものがあるのかなと恐る恐る読み始めたら従姉との初恋物語のようなものであった。(これだけでは失礼かな)。解説などを読むと自伝的なもののようであり、書き出しもそのような事が伺える。ジットは同性愛者でもあるが結婚もしており、愛人との間に子供もいる。「緋文字」を読んだ時のある種の怒り、葛藤を覚えたがここにはなく、主人公のジェロームの初恋物語を読んでいくような感じで読み進んでいった。二歳年上の従姉アリサとの恋物語と彼女の死、一歳下のアリサの妹ジュリエットと二歳下の弟ロベール、友人のアベルなどが流れの中に登場する。創作ではなく自伝的だからよくつかみきれなかったが本の題名が「狭き門」、何が狭き門なのだろうかと考えた。

「狭き門」、それはある意味で入り難いものであり、誰ものが入れない。自分が願っているのにそれを得ることの出来ないということもできる。そういう意味ではお互いに好きなのに結婚できなかったアリサとジェローム、アリサの妹ジュリットはジェロームと結婚したかったが出来なかった。ジェロームの友人アベルはジュリエットと結婚したかったが出来なかった。唯一ジュリエットと結婚したかったテシエールが彼女と結婚できたことであろうか。

最後の方はアリサの日記だけが書かれている。アリサの純粋さとその心の叫びが聞こえてくる。そして信仰も…。最後の数ページはジュリットと彼女の家で再開した会話で終わっている。そこにはジェロームはアリサに対して、ジュリエットはジェロームに対して断ち切れない思いが伺え知れるような書き方で終わっている。ある意味で悲恋かもしれない。

頭の体操のつもりでまとめようとしたがうまくできなかった。健忘症から認知症へと踏み込んだ者としてはこれでオンとしなければ…。