2008年10月9日木曜日

ヤクーバとライオン Ⅱ

 Ⅰの結末は他の少年が名誉ある戦士になっていくのにヤクーバは牛の世話をすることになった。しかし牛は2度とライオンに襲われることはなかった。そしてⅡは「信頼」という副題である。既にそれがある。

 ライオンは一族のためにえものを見つけなければならないので重い心で村に向かう。男(少年)はライオンの前に立ちはだかった。ライオンを助けることができないから「かえれ」と手であいずする。牛たちを命がけで助けなければならないからだ。しかしついに戦いは始まった。ライオンは何回も男の首や原や太ももを引っかいたがそのたびに足のつめは引っ込められていた。男もやりで何回もライオンのわきをついたが、けっしてぐさりとさすことはなかった。お互いに、自分が勝とうとは思っていなかった。むしろ相手を助けたいと思っていた。見せかけの戦いは夜明けまで続いた。離れてみていたほかのライオンは自分たちの王者にも負けないとは、なんと恐るべき男だろう。ライオンたちはおびえて一頭また一頭と去っていった。ライオンも去っていく。ライオンの雄たけびに村人たちが集まってきて、何事かとたずねるが男は「なんでもないよ、友達が尋ねた来ただけだ」と、ライオンは何日も村の周りをうろついていた。他の土地に行って獲物を探す力はなかった。自分のすみかの近くに肉の塊が置いてあるのを見つけるが王者としての誇りがその贈り物に触れなかった。そして立ち去る決心をした。「ヤクーバとの信頼を裏切ることはないであろう」と最後を結んでいる。それはライオンの死を意味する。

 勇気とか信頼は人に見えるものではなく、その人あるいはお互いのうちにあるものではないだあろうか。そして美しいものでもなく、見栄えするものでもない。そして死をもって終わるものであることかもしれない。イエスさまの歩みも然りであり、信仰の歩みも然りである。信仰の根本を教えられたような気がする。