2011年5月18日水曜日

姜尚中 

いつだったろうか、テレビを見ていて柔らかい物腰と話し方に興味を持ったのだろうか、はっきりした記憶はない。最近のものではないが3冊ばかり読む。「在日」は生い立ちを「在日、二つの祖国への思い」は朝鮮半島の戦後の歴史と提言のようなものだった。小さいときの貧しさは共有できるが在日の苦悩は共有することはできない。本人だけでなく両親や同胞の苦悩を共有しているから私にはそれがない。

「二つの祖国…」を読みながら、歴史を復習するみたいに読んでいったが忘れていることの多さに驚く、忘れやすい民族の一人なのか単なる個人的なものかは分からないが。20代のときに東北地方に行った時に、ご主人が韓国人だったご婦人と少し話をする機会があった。彼女の心配は、東京にいる子供さんが南北統一の運動をしていていることだった。一度会ったことがあっって、日本に対しての批判は厳しかった。勿論、それに答えられるようなものはなかった記憶がある。当時、韓国は反共独裁政権だったから、日本にいてもマークされていたらしい。迷惑かかるからもう会わない方がいいと言われたのでそれっきりになったしまった。金大中拉致や在日2世が韓国に留学して、北のスパイの嫌疑をかけられ、拷問で命を落としたり、生きていてもひどい傷跡を残したりしたニュースがあったことを思い出して鳥肌が立つのを覚えた。

姜さんは北に対しても前向きであり、今の日本のやり方では進展はないししていない。かつての戦争においても被害者というより加害者の立場だからなお分からないだろう。その辺をじっくり考えるべきだろう。尖閣諸島や竹島の問題も多少犠牲を持って対処しなければ解決は難しい。民族主義が台頭するであろうし、色々な立場にある人たちを説得する必要もある。あのような識見を持っている人がいること日本にとっては大切な存在である。同胞であり、痛みを知っている在日の存在はこれから朝鮮半島の解決のためには助けになるものではないだろうか。それを可とするのが政治家の務めだが・・・。