2011年7月24日日曜日

NHK ヒューマンドキュメント

NHK が20、21、22日の夜の10時に三夜連続で「ヒューマンドキュメント」特集を放映された。

{ 「重度の脳性まひを抱えながら、当たり前の幸せを求めて“行政の壁”を壊してきた小山内美智子さん。今から26年前、小山内さんの陳情を受け止めた相手が厚生省から北海道庁に出向したばかりの浅野史郎さん(元宮城県知事)だった。時に熱く議論し、信頼関係を築いた2人が今、命に関わる病と闘っている。番組では互いの身を案じながら必死に生きる2人の交流をたどり、痛みを抱える人がよく生きられる社会とは何かを見つめていく。」

2011年に最高裁で、連続リンチ殺人事件を起こした3人の元少年の死刑が確定した。事件から17年。犠牲者のうちの1人、江崎正史さん(享年19歳)の両親、恭平さん、テルミさんはその後の人生のすべてを「死刑」に注ぎ込んできた。しかし、それは、無残に殺された息子への思いと、死をもって加害者に罪を償わせる死刑との狭間で揺れ続けた歳月だった。番組では、17年間に及ぶ、江崎さん夫婦の死刑を巡る葛藤の日々を描く。

「これ以上延命治療はしない」と選択し、2010年に亡くなった田嶋華子さん。幼い頃から重い病気に苦しみながらも、最先端の医療に支えられて命をつないできた。「いのちは長さじゃないよ。どう生きるかだよ」、そう語る華子さんを取材した「クローズアップ現代」は、大きな反響を呼んだ。身近な人々との700通にのぼるメール「いのちの対話」をひも解き、華子さんが「いのち」とどう向き合ったのか、その心の足跡をたどる。} 以上NHK の番組紹介より。

20日放映の小山内さんを見て強いなと思った。以前に重度の障害を持っている知人をたずねた時、ちょうどヘルパーさんが来ていて、彼があれこれとヘルパーさんに注文をつけていた。内心お世話になっているのにとその時は思った。後で考えてみて、これは多寡はさておいて対価としての仕事をしているのだから当然か、譬えボランティアであってもやってあげているとかやってもらっているという今までの発想は、今日成り立たない。自分も過去の発想を引きずっていることに気づかされて反省したことがあった。彼も強さを持っていて、自分の置かれている状況に卑屈になることはなかった。お互いに欠けているものを持っているので話が合ったのかもしれないと思う。自分はつい周りを見てしまったり、これは無理だろうなとあきらめてしまうが小山内さんは主張すべきものは主張し、そして行動している。浅野さんの最近テレビで見かけないなと思ったら白血病で治療中だったがようやく大学の講壇に立てられた。これからの活躍を期待したい。

21日は、息子を殺された夫婦の苦悩を垣間見せられた。主犯格の加害者が謝罪の手紙をくれるようになり、その内容も変化していることにご主人は戸惑っているようだった。ご夫婦にとって、死刑は当然としていても心は揺れ動いている様を見る。死も色々あるが最もつらい死ではないだろうか。死について深く考えさせられた死だった。加害者はキリスト教の信仰を持ったようで、それで変わったのだろうか、それが悪い意味でなくご夫婦に戸惑いを与えたのかもしれない。判決は死刑だったからご夫婦は当然として受け止めたであろうが、これからもご夫婦の葛藤は続くのだろう。答えは見い出せないが考えさせられた。

最後の田嶋華子さんは心臓移植をドイツで受けて、10年持てばといわれた。痰をとるためだろうかのどに穴をあけているから会話は筆記である。透析が必要となったのだが、あいてそれを受けることをしないで18歳でなくなった。彼女の達観した姿と、その生き方に意を添うようにしているご両親を見ていて清々しい。しかしその分ご両親の苦悩は大きいだろうなと思った。

死、生きる。あるいは生きることの重みを感じさせてくれた番組だった。