2013年3月18日月曜日

えんだくり

この名前は栗のイガが開いた状態が笑っているように見えるので「笑んだ栗」ということらしい。これはこの間N伝道者と家内と家内の姉が尋ねた家の娘さんが書いた本の題名なのである。ⅠとⅡがあってそれを頂いてきた。読みかけ中の本があったり、読むのが遅いこともありようやく読み終えた。

重い脳性小児マヒの故に書く事と話すことが上手くできない。生活の不便さを思うと大変だろうにと思うが文面からはあまり窺い知れない。それを逆手は大袈裟かな、しかし文章からそれを感じるから自然に読める。書き手の人ととなりを感じさせる。


第一章 わがままなからだ

アテトーゼという妙なヤツ

 アテトーゼ、という言葉をご存知ですか。
 脳性マヒの特徴の一つで、無意識に出てしまう動作のことです。
 アテトーゼという妙なヤツはとてもわがままで、ところかまわず現れるので、本当に困ってしまいます。医学的なことはよくわかりませんが、私たち脳性マヒ者のからだはヤツらにとって、よほど住み心地がよいとみえ、みんな居座れています。
 どうせ一生アテトーゼという気ままなヤツに居候されるのならば、仲よくつき合っていきたいと思うのです。
 特に緊張したり「これはこぼしてはいけない」と意識したときなどに、なんの前触れもなくアテトーゼは勝手に突然襲いかかってきます。すると、こちらも慌てて、手に持っているものを放り投げてしまいます。
 また、興奮するとアテトーゼというヤツは、とても喜んで活発に動き始めるので、思わぬ動作になってしまい、このちらはたまったものではありません。
 ただ、アテトーゼというヤドカリも、本能的に自分の住いを守ることだけは知っているらしく、決して借宿に向けてはものを投げません。ただし、借宿以外には、どちらの方向へ投げているのか、投げたものがどちらの方向に飛んでいくのかは、投げた本人すら、まったくわかりません。
 つまり、もし、その行き先不明の物体によって、他人が被害を被ったとしても、責任は取りかねるというわけです。一応、本人も、アテトーゼを出さないために、からだ中に力を入れて、防御の姿勢で作業をしているつもりでありますが、包丁など危険なものを使っているときには、私からできるだけ離れていてもらいたいものです。
 後略
こんな次第なのです。