2015年3月25日水曜日

群集の中のひとつの顔

東京に出てのひとつの楽しみは雑踏の中を一人で歩くことである。これは若い時から好きだった。若い時は仕事の帰りによく上野の街を目的もなくぶらりぶらりと歩いていた。お金がなかったり、お酒が飲めないこともあったのかもしれない。しかし、そこにはこんなに大勢人がいるのに自分を知っている人が誰もいないというある種の安心感があった。何か悪いことをしているわけではないが何故かそんな感じがした。今回も新宿の街を歩いて、立ち止まって上を見上げたり、人の流れにはじかれたりしている自分を見て、あきらかにおのぼりさんだなぁと思いながら歩いていた。それでも地上を歩いている時は目的があったが西口地下を歩いている時は無目的だからまさに雑踏の中をぶらりと歩いている自分を見てどこかホッとしている。題名は半世紀近く前に観た映画の題名であるが内容が違うけれどなぜか東京の街を一人で歩いているとこの題名がダブるのである。