2016年3月7日月曜日

今月のみことば

 「私たちが滅びうせなかったのは、主の恵みによる。主のあわれみは尽きないからだ。
  それは朝ごとに新しい。あなたの真実は力強い。」 (哀歌3章22節、23節)

 5年前の3月11日に発生した東日本大震災は、沿岸部に壊滅的な被害をもたらしただけでなく、原発のメルトダウンも引き起こし、事故終息のめどは今も立っていない。◆人々は問う。「神が愛であるなら、なぜこのような災害が起こるのか」と。◆ところが、被害の甚大だった東北地方に入ったボランティアの人々が驚いたのは、そのような問いをする人にほとんど出会わないことであった。◆聖書翻訳で著名な山浦玄嗣氏は「なして、おらあこんな目に遭わねばなんねんだべ」という恨みごとを聞いたことは一度もない、と断言する。「神様、仏さまはなぜ人々をこんなむごい目に遇わせるのか」と判で押したように同じことを聞くのは「暇だからでねえが?」と仲間と意見がまとまったという。◆聖書を見ると、「神はなぜこのようなことが起きるのを許されたのか」という問いはどこにも書かれてはいない。むしろその逆である。「あの自然災害でなぜこんなにも多くの人が死んだのか」ではなく、「なぜ死ぬ人がこれだけで済んだのか」なのである。◆聖なる神が、本当の意味で私たちにふさわしい対応をなさる、としたら、自然災害がこれだけで済んでいること、死者がこれだけで済んでいいること自体が驚きでなければならない(太平洋戦争という、人為的な原因で310万人の日本人が命を落としたことを思い起こしてほしい)。◆実に、神は私たちが思うよりはるかに恵み深い方であり、わたした人間は自分が思うよりはるかに罪深い存在なのである。
長野集会 3月月報より